2025-02-27
生成AIとマネジメント階層の平坦化
「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」を読んでいる。https://www.oreilly.co.jp/books/9784873112992/大体のタスクには1/3の法則が適用できるとしている。つまり、タスクは設計・実装・テストの3段階に別れていて、ざっくりスケジュールも3等分できる、みたいな主張(記憶で書いているので正確なことは本を参照してください)をしている。
ここからは100%僕の自論。マネジメントする人は基本的に実装フェーズをマネジメント対象の人に委譲するのではないだろうか。3段階に分割されたタスクのそれぞれのフェーズはやはりタスクであって、再帰的にまた3段階に分割されると考えている。仕事を作るフェーズが設計、それを実際に行うフェーズが実装、その実装が欲しかったやつなのかを確かめるのがテストである。そう思うとマネジメントする人は設計やテストを実は自身が行っていて、実装フェーズだけを他者に任せていると言えそう(かける時間を考えると多少無理がありそうな気もするがひとまず気にしない)。
ところでマネジメントの階層構造は浅いほど純粋な実装の割合が高まる。純粋な実装の割合を説明する。マネジメントの階層構造は全てのノードで枝が三つの木構造をなす。それぞれの枝は設計・実装・テストに対応する。ノードはタスクを表す。ルートから実装の枝だけを辿った先の末端のノードが純粋な実装である。純粋な実装が欲しいものであることを保証するために設計が存在して、その設計を満たすことを保証するためにテストが存在する。実際の価値を生み出すのは純粋な実装である。
純粋な実装の割合を高めるためにはマネジメントの階層を浅くして、余分な設計やテストを削減すれば良い。つまりマネジメントレイヤを減らすこと、息を止めてできる実装のサイズを大きくすることが効く。理想的には全ての主体がマネジメントのトップにいる(マネジメントの不要な組織)と効率が最大になる。問題に対する能力の問題でそれが叶わないケースが多いだろう。理想的には全員が最強な集まりが最強なのだ。社長を100人集めてそれぞれの組織の実行に必要な能力を社長に宿らせれば、100人だけで100社分のアウトプットができる。確かに効率が理想的である。
さて、生成AIの登場によって人間ではなくAIにタスクを以前よりも段違いに任せられるようになってきた。普段生成AIを使っている我々は知っているのだが、やはり設計とテストを僕たちがやって、実装を生成AIに任せるという生成AIのマネジメントをやっている。生成AIのおかげで僕たちはタスクの1/3を自動化できるようになったのだ。これはこれまでの人間をマネジメントする状況と変わらない。一方で、生成AIは人間よりもだいぶ汎用的で素早い。そのため人間ほどの問題の分割統治が必要ないだろうと思う。これはマネジメントの階層を浅くすることに寄与する。下手にマネジメント階層を深めないで社長が直接生成AIを使って実現できるならば、マネジメント階層の深さは理想的になるのだ。
極端なパタンについて述べたが、現実にも生成AIはマネジメントの階層を浅くする方に有利な技術だろう。組織は今後もっと浅いマネジメント階層になっていくのではないだろうか。つまり仕事では自律的な行動がこれまで以上に求められることになっていく(昔からこの傾向はずっとそう?)。
追記: 価値観が疑われると悲しいので言い訳を書いておきます。ここでの主張は思考実験であって、単純化するとこういう考え方があってよいだろうという主張です。心の底から社長100人の組織が最強の組織だと思っている訳ではないし、たくさん無理な仮定や推論を置いています。マネジメントがタスクをこなすための木構造である、とか言っているがそんなわけがないし。
グローバルなgit hook
https://qiita.com/ik-fib/items/55edad2e5f5f06b3ddd1
良さそう